Medium公開から6年。サイトのUXデザインの変遷を辿る | アドビUX道場 #UXDojo

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この記事では、Twitterの共同創立者エヴァン・ウィリアムスにより構築された有名な投稿プラットフォームMediumのユーザー体験とUIの進化を詳しく紹介します。

2012年のサイト公開以来、Mediumは読者との関係の構築と、サイトで読んで過ごす時間の最適化に注力してきました。当然、Mediumにとって、様々なカスタマイズが可能な読者体験はきわめて重要です。

Mediumのサインアップ及びランディングページのスクリーンショット
2018年のMediumのサインアップ及びランディングページ

プロダクトデザイナーのブラッド・アルツィニエガベンジャミン・ハーシュから、Mediumのユーザー体験に関する洞察を聞きました。彼らのチームは自分たちの考えをどのようにデザインし、そしてそこから何を学んだのでしょうか。

始まりの頃のMediumのユーザー体験はどのようなものだったのでしょうか?

ブラッド:2012年のMediumの公開以来、自分たちの役割は、書き手がストーリーを語ることの支援であり、その考えが読み手と共有されるようつなげることだと信じてきました。それを基準に、私達は常に、語られているストーリーのためのユーザー体験をデザインしています。

語られるストーリーに対する私達の配慮が、最初のユーザー体験の枠組みとなりました。シンプルでありながら表現力豊かで、考え抜かれた環境で著者が自身のストーリーを語れるようにしたいと私達は思いました。また、読者が、邪魔されることなく著者のアイデアに集中し、ストーリーに没頭できるようにしたいと考えていました。

2012年のデザインは、あえて目立たないことが意識されていました。ユーザー体験は、タイポグラフィーやインタラクションモデルと同じくらい、プラットフォーム上のコンテンツやストーリーが決めていました。デザインは、読む・書く行為を高めるためにあり、必要なときだけストーリーから離れた場所に表示されました。

記事を書くエディタは、ページ上部に編集ツールのリボンを表示する代わりに、著者がテキストを直接扱えるようにすることで、執筆の流れを止めないようにデザインされました。画像はいつでもどこにでもドロップ可能にしました。画像は、十分に見た目を考慮された扱いにより自動的に整形されて配置されるようにして、そのまま次の作業に移れるようにしました。ストーリーのページの装飾はひとたび読み始めると視界から消え、読み手がストーリーだけに集中できるようになっていました。一瞬立ち止まり引き込む間を作るための、ビューポート一杯の画像も利用可能でした。

私達はこうした細部に時間を費やしました。その目的は、書き手がストーリーを語り、読み手がそれとつながるための、気が利いて、行き届いて、邪魔をしないインタラクションによるユーザー体験を実現するためでした。

そのユーザー体験は時間の経過と共にどのように変わったのでしょうか?

ブラッド:私達のプラットフォームを利用する読者と著者の使い方に合うよう、デザインと体験は進化してきました。その中核にある理念と信条は今でも変わりません。しかし、機能が増えるにつれ制約も増加します。そのため、読者と著者の増え続けるニーズに合うよう表現を適応させてきました。ある意味、私達のUXは、より柔軟性が必要とされる方向に変化したとも言えます。

よりたくさんの種類のストーリーの追加、読者がストーリを見つける画面の多様化、読者がストーリーを読むプラットフォームの増加などが起きました。私達は、そうした製品の進化や新しい機能の実験やより多いユーザーのより多いニーズにユーザー体験が折れることなく弾性的に沿えるよう、UXの強化と単純化を行い続ける必要がありました。

2013年のMedium.comのホームページのスクリーンショット
2013年のMediumのホームページ

MediumのUXを進化させるとき主に考慮されていた点は何でしょうか?

ベンジャミン:良いUXは静的ではありません。それは使用する人々と共に変化します。

Mediumの根本的な目的は、優れたストーリーを共有することです。そして、ストーリーひとつひとつが読者と著者とのユニークな交流です。読者と著者はどちらも移ろい、両者の関係は時間と共に変化しています。Mediumは、彼らをつなげるより良い方法を見つけるための旅でした。

Mediumは壁に囲まれた庭として始まり、主張したり応答したり、そうした積極的な参加への気風の上に築かれたコミュニティへと成長しました。これは、当時、オンラインで読み書きする行為の新しい解釈でした。ブログよりは洗練され、雑誌よりは社会とつながっていました。それは素晴らしいことでした。しかし、世界は変わり続けました。

我々は、近年、メディアの状況における大きな変化を目にしています。デジタル広告の報酬がジャーナリズムの基盤を溶かし、読者にはきちんと調査されよく練られたストーリーがどんどん届かなくなりました。Mediumは、読者へのメンバーシッププログラムと、著者へのパートナープログラムを通じて、この状況を調整しようとしています。

製品という観点からは、読者体験を価値あるものにしようと注力してきました。優れた読み物を見つけるのは困難なものです。そこで、人手によるキュレーションを行ったり、特集を編纂して追加しています。より豊かなストーリを語るフォーマットを試したり、文章を引き上げる方法を追及してきました。試みは他にもまだまだありますが、すべては、よりシンプルで価値ある読み方の実現のためです。

Mediumとしての考えをどのようにデザインしているのでしょうか?

ベンジャミン:それは現在も継続中の協業ですね。幸運にも我々はチームに多くの傑出したライターとクリエイターを抱えています。そして、常に状況に応じた表現をする正しい方法について会話しています。

Mediumの編集の意図もかなり明確化されてきました。 我々は、自分たちのストーリの表現が、視点や個性の感覚を伝えられる地点に達していると思います。そして、それは有機的に製品に表れています。ストーリー自体に語らせるのが最良の方法なのです。

2014年のMedium.comのホームページのスクリーンショット
2014年のMediumのホームページ

ユーザー体験のプロトタイプとテストへの取り組みについて教えてください

ベンジャミン:我々はデザインのターゲットである人々を重視しています。通常は、ユーザーインタビューやデータ分析から始めて我々の見識を確認し、彼らのためにMediumを改良できるテスト可能な仮説を探ります。時には、コードやデザインツールでプロトタイプをつくり、対面でユーザビリティテストを行います。多くの実験は、キュレーションとパーソナライズに焦点を合わせているため、プロトタイプが必要なUIはさほど多くありません。A/Bテストは定期的に行っていますが、機能だけでなくコミュニティをより良く理解するためのツールと位置づけています。

UXに関して犯した間違いと、そこから学んだことは何でしょうか?

ベンジャミン:何回か学んだレッスンのひとつは、上品で洗練されたデザインの重要性です。読むというのは、多くの集中力を必要とする静かな行為です。時折、Mediumは読者の気を引き、何かに注目させる必要があります。例えば、その月の最後の無料のプレビューを読んでいる人がいるかもしれません。

2018年のMedium.comのストーリーページのスクリーンショット
2018年のMediumのストーリーページ

明確にするため、「騒がしい」デザインを採用するのは容易です。しかし、騒がしさと明確さは同じではありません。多くの場合、さりげなくて読者の注意を尊重するUIを提供したときの方が、人々はより関わります。

MediumのUXの次の取り組みは?

ベンジャミン:よりたくさんのフォントです。


この記事はUX Evolutions: How Medium Has Changed Over the Past Six Years(著者:Oliver Lindberg)の抄訳です

POSTED ON 2018.11.28